日本栄養士会雑誌
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ストレス負荷時の食事摂取量の変化と必要な栄養素-被災者への栄養・食生活支援のために-
須藤 紀子澤口 眞規子吉池 信男
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2010 年 53 巻 4 号 p. 349-355

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抄録

災害時の栄養・食生活支援活動の参考となるように、被災者の栄養リスクについての知見をまとめた。被災のようなライフイベント発生時には、ストレスによる食欲低下と共に、食事やその準備にかけられる時間の減少、調理意欲の低下によって、食事摂取量が減少する。しかし、時間や調理意欲のなさに、ファストフードやインスタント食品を選択することによって対応するとエネルギー摂取量は増加する。ストレスが慢性化すると、ストレスからの回復をめざして食欲は増進する。ストレス対処行動として菓子類の摂取が増加するので、摂り過ぎに注意が必要である。ストレス負荷時は脳のエネルギー源となる糖質と必須アミノ酸を含む良質なたんぱく質を十分に摂取する必要がある。微量栄養素では、生鮮食品を含む多様な食品を摂取することで、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC を確保する。特に平常時から不足しがちな鉄とカルシウムには注意が必要である。

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© 2010 公益社団法人 日本栄養士会
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