日本栄養士会雑誌
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知的障害者施設成人入所者の身体計測値基準データ
片山 夕香吉池 信男政安 静子平野 孝則佐藤 明子稲山 貴代
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2011 年 54 巻 1 号 p. 25-35

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抄録

本研究は、知的障害者施設成人入所者の栄養アセスメントに活用できる、性・年齢階級別のパーセンタイル値を含む身体計測値の基準データを提示することを目的とした。調査時点で正式登録のあった全国の知的障害者入所全施設(1,950施設)に対し、年齢階級(30歳代から50歳代)、性、原疾患、日常生活自立度、身長、調査時点の体重、1年前の体重、5年前の体重のカルテ調査を依頼した。最終的に188施設から5,371名分の回答が得られ、調査内容に欠損のない4,903名(男性2,643名、女性2,260名)を解析対象とした。日常生活自立度は、約88%が「自立」から「A1」のおおむね1人で活動できる者であった。調査時点での身長、体重データから、男性では、過体重(BMI≧25kg/m2)16%、低体重(同<18.5)13%、女性では過体重27%、低体重12%であった。てんかん、精神遅滞・発達障害を原疾患に持つサブグループのBMI分布は、全体のBMI分布と比べ大きな差は見られなかった。5年前の体重を用いた後ろ向きデータから、中年期において男女いずれも体重が5年間で3%前後減少する傾向が見られ、健常者中年期の年齢変化による体重推移とは対照的であった。これらの結果から、知的障害者に対する栄養支援の重要性が示唆された。

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© 2011 公益社団法人 日本栄養士会
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