日本栄養士会雑誌
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WHOガイドライン(2015)「成人と小児における糖類の摂取」の解説
西村 一弘
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2020 年 63 巻 8 号 p. 447-453

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抄録

WHO(世界保健機関)は、糖類(フリーシュガー)摂取の増加が世界各国の人々の健康に及ぼす影響(非感染性疾患の増加)を懸念し、「糖類摂取ガイドライン」を2015年に公表した。本ガイドラインは、糖類の具体的な推奨摂取量を示しており、肥満とう蝕を対象に行ったシステマティックレビュー(SR)がその科学的根拠となっている。 著者はSRの詳細を原著論文で確認し、次の点を見出した。(1)メタ解析の結果、糖類摂取を増やすことでエネルギー摂取が増える場合に肥満が起きたが、糖類を他の炭水化物に置き換えた(エネルギー摂取が増加しない)場合には体重は変化しなかった。(2)本ガイドラインの摂取推奨量は、糖類とう蝕に関するSRから導き出されたものであり、そのエビデンスの一部には信頼性の乏しいものも含まれていた。 本ガイドラインはわが国の栄養政策においても参考とされるものであり、本稿ではわれわれ栄養士が本ガイドラインをどのように捉えるべきかを日本人の健康状況と併せて考察する。

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