日本食物繊維研究会誌
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人における低分子化アルギン酸の血糖上昇ならびにインスリン分泌抑制効果
奥 恒行中村 禎子岡崎 光子
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1997 年 1 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

 特殊な方法で加水分解して平均分子量を50,000程度にした低分子化アルギン酸2.5g,5gまたは10gをブドウ糖50gと一緒に摂取させ,血糖上昇ならびにインスリン分泌に対する影響を観察した。その結果,摂取30分後の最大血糖値は低分子化アルギン酸5gおよび10g摂取によって容量依存的に有意に低下した。低分子化アルギン酸による血糖上昇抑制に対応して血清インスリン濃度も低下した。さらに,低分子化アルギン酸含有飲料(300ml,低分子化アルギン酸5.4g含有)と和菓子(100g,糖質約60g)を一緒に摂取させ,血糖ならびにインスリン分泌への影響を観察した。和菓子と低分子化アルギン酸含有飲料を一緒に摂取させた場合,摂取30分後の最大血糖値はブドウ糖50gの単独摂取に比べて有意(P<0.01)に低かった。プラセボ実験に比べても低い傾向を示したが,有意差はなかった。低分子化アルギン酸含有飲料摂取時の最大インスリン濃度はブドウ糖50gの単独摂取よりも有意(p<0.01)に低く,プラセボ実験に比べても有意(P<0.05)に低かった。摂取60分後には,血糖はほぼ摂取前のレベルに戻ったが,血清インスリン濃度はプラセボおよび低分子化アルギン酸含有飲料実験とも摂取30分後にピークに達し,その後150分まではゆっくりと低下した。これらの結果は,高糖質食品摂取時に低分子化アルギン酸含有飲料を一緒に摂取すると血糖上昇およびインスリン分泌が抑制されることを示している。

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