日本食物繊維研究会誌
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乳果オリゴ糖含有クッキーが若年女性の排便および腸内菌叢に及ぼす影響
森川 尚美森岡 保塚原 典子田中 たえ子佐藤 和人江澤 郁子
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1998 年 2 巻 1 号 p. 37-47

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抄録

 健常な女子大生(19名)に乳果オリゴ糖(LS)入りクッキー(129×4本,LSとして49)を2週間摂取させ,排便日数,糞便菌叢,便性状など複数の観点から排便状況に及ぼす影響を検討した。対照には甘味料としてショ糖のみを使用したプラセボクッキーを用い,プラセボクッキー摂取期(Cont.期)とLSクッキー摂取期(LSlw期,LS2w期)の間に1週間の非摂取期間(Blank期)をおいた。 対象者全員で比較すると,一週間あたりの排便日数はプラセボクッキー摂取期に比べてLSクッキー摂取により増加傾向を示したが,有意差を認めるまでにはいたらなかった。しかし,非摂取期に比べると有意(p<0.05)に増加した。また便秘傾向者の場合はその影響が顕著になり,プラセボクッキー摂取期との比較において有意(p<0.05)な増加を示した。便性状に関しては便の量,便の色,便の形状,感覚的な便の硬さの4項目で非摂取期に比べて有意(p<0.05)な改善が見られた。また,プラセボクッキー摂取期との比較でもLSクッキー摂取により便の形状,感覚的な便の硬さ,爽快感において有意(P<0.05)な改善効果を示した。糞便中の総嫌気性菌に対するBifidobacteria占有率はLSクッキー摂取により増加傾向を示した。また,LSクッキーの摂取量を段階的に3倍量(12本,1449,LSとして129)まで増加した場合でも重篤な副作用を伴うことはなく,高い安全性が示された。 以上の結果より,LSクッキーの摂取はBifidobacteriaなどの有用菌を増加させ,排便日数,排便量,便の色,便の形状,便の硬さ,排便後の爽快感などに対して改善効果を示すことが明らかになった。

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