日本食物繊維学会誌
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食物繊維の定義・用語・分類の探索と日本からの新たな提案
桐山 修八海老 原清池上 幸江印南 敏片山 洋子竹久 文之
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2006 年 10 巻 1 号 p. 11-24

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抄録

 本論文は国際的な食物繊維の概念をめぐる混乱を解決するための提案に関するものである。日本食物繊維研究会では1997年に検討部会を発足させ、1972年以来諸外国で採用されてきた食物繊維に対する定義,用語,分類に関する言義論の変遷についてまとめた。さらに,この分野における研究の発展に合わせて次々と発表される新たな不消化成分の生理的意義や分類に関しても検討を行ってきた。 こうした議論を踏まえて,部会メンバーは食物繊維という言葉は全ての不消化成分を包括する言葉として適切ではないという考えで一致した。ルミナコイド(luminacoids)は,これまで使われてきた食物繊維も含めてすべての不消化成分を包含する包括的な言葉として名づけられたものである。この包括的用語はさらにでんぷんと非でんぷん成分に分類される。食物繊維は非でんぷん物質の主要な成分であり,さらに多糖類とリグニンに細分される。最終的に,ルミナコイドの定義は次のように提案する:ヒトの小腸内で消化・吸収されにくく、消化管を介して健康の維持に役立つ生理作用を発現する食物成分。 1998,1999年の日本食物繊維研究会学術集会において提案され,2000年11月の第6回学術集会において最終的に合意された。我々はさらに日本食物繊維研究会による新たな提案の意義を検討し、最近5つの国際的組織他の研究者から提案されている食物繊維の定義の利点や問題点について比較検討した。

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