日本災害医学会雑誌
Online ISSN : 2434-4214
Print ISSN : 2189-4035
体験レポート
VREアウトブレイク中における院内大規模災害訓練からみえた効果的な訓練のあり方について
奥沢 悦子 近藤 英史今野 慎吾野田頭 達也今 明秀
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2021 年 26 巻 2 号 p. 69-74

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抄録

当院は2012年より年一回、病院全体で行うロールプレイ方式の大規模災害訓練(以下、院内災害訓練)を行っている。しかし2019年の院内災害訓練時、院内はバンコマイシン耐性腸球菌(Vancomycin-Resistant-Enterococcus spp.: VRE)によるアウトブレイク中であり、患者受入れ制限、病床利用の縮小により病院機能が低下していた。災害対策本部は「現実のVREアウトブレイク」による病院機能低下状態における「仮想の大地震発生」での医療需要増大を災害と感染症蔓延の複合発生事案と捉えた。傷病者受入れの想定であったがVRE対応中での受入れ可否の判断に時間を要し、傷病者は搬送元で一時待機状態となった。最終的に持込みVREの院内感染防御のため、新規入院災害傷病者用に一つの病棟を確保した。本訓練は想定したシナリオのみではなく、VREアウトブレイク中とする訓練時のリアルな現状を組込むことで、より実践的なCSCA(Command & Control, Safety, Communication, Assessment)による本部運営ができた。

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