日本災害医学会雑誌
Online ISSN : 2434-4214
Print ISSN : 2189-4035
事例報告
ドクターカーにて緊急出動し多数傷病者に対応した火災現場での活動事例
服部 友紀 平川 昭彦坪内 希親宮崎 ゆか山岸 庸太笹野 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 27 巻 2 号 p. 123-128

詳細
抄録

災害現場への緊急出動では情報が曖昧な場合が多く、適切に状況把握し行動することが重要である。今回、事前情報が詳細不明の火災現場での活動を経験した。某日曜日深夜「住宅火災が発生し1名救出、何人か取り残されている」とドクターカー出動要請があった。4分後に到着すると現場指揮所から気道損傷を疑う2名の診療・搬送を依頼された。2名の状態は安定しており、依頼通り自院ERへ搬送・診療するか、新たな救出者のため現場に残るか考えた。15分間を上限と設定し、救急科医師のER招集を手配しつつ現場活動を継続した。10分後にスタッフ招集の目処がついたため現場活動に専念した。その後は搬出された2名の死亡確認と別エリアの待機者19名の診療を行い1時間後に帰院した。本事例では、到着前のブリーフィング、到着後の状況把握、現場を離れるか活動継続かの選択、スタッフ・指揮所との意思疎通、実際の診療など難しい局面が多く大変貴重な経験であった。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本災害医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top