2023 年 28 巻 3 号 p. 107-114
【目的】原子力災害時発生時の勤務継続または出勤に関する病院職員の意識調査の結果を分析し、病院業務を継続するうえでの課題を抽出する。【方法】A病院の全職員を対象に質問紙調査を実施した。結果は記述統計とχ2検定により分析した。【結果】職員697人に配布し600人から回答を得た(回収率86.1%、有効回答率99.7%)。勤務継続または出勤できる64人(10.7%)、できない139人(23.2%)、条件付きでできる397人(66.2%)であった。勤務継続の意思について医療専門職とその他の職種の2群間に有意差が認められた。【考察】勤務継続の条件は安全と情報に集約された。2群間に有意差が認められたのは、放射線に関連する知識の違いや学習機会の有無が影響していると推察された。【結語】原子力災害発生時に病院の業務継続を行うためには、すべての職員を対象とした原子力災害に関する教育が必要であることが示唆された。