歯科材料・器械
Online ISSN : 2188-4188
Print ISSN : 0286-5858
ISSN-L : 0286-5858
原著
歯科用フッ素徐放性ポリマーの研究 : (第3報)メタクリル酸フッ化物とメタクリル酸メチル共重合体の歯科材料としての性質
小島 克則門磨 義則増原 英一
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 1 巻 2 号 p. 131-137

詳細
抄録
メタクリル酸フッ化物 (MF) とメタクリル酸メチル (MMA) から MF-MMA 共重合体を合成し, その共重合体および共重合体とポリメタクリル酸メチル (PMMA) のブレンドポリマーのフイルムからのフッ素イオンの溶出率をフッ素電極を用いて測定した.その結果, フッ素イオンが時間の経過にともなって一定の割合で溶出することがわかった.
フイルムからのフッ素イオンの溶出するメカニズムは MF-MMA 共重体の隣り合う MF 単位が加水分解してフッ素イオンを放出し, 酸無水物を形成する.それがさらに加水分解してカルボン酸を形成することを赤外線吸収スペクトルによって確認した.
10%クエン酸水溶液に各種金属塩化物を 3%溶解した前処理液でウシの抜去歯の象牙質を処理してから 5%-4-META/MMA-TBB-O 系接着剤で接着させ, 接着強さに対する前処理液の効果を調べたところ, 10%クエン酸水溶液に3%塩化第2鉄および3%塩化第2銅を加えた前処理液で処理した場合に顕著な効果があった.
65%リン酸水溶液で処理したヒトのエナメル質と10%クエン酸液に3%塩化第2銅を加えた水溶液で処理したヒトの象牙質にフッ素徐放性ポリマー用いた4-META/MMA-TBB-Oレジンで接着させたところ, エナメル質では平均 12.2 MPa(84.7 kg/cm2), 象牙質では平均 12.2 MPa(124 kg/cm2)程度の接着強さを示した.
著者関連情報
© 1982 一般社団法人 日本歯科理工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top