ハイドロキシアパタイト, アクリル酸共重合物, 酸化亜鉛の3成分による新しい水硬性セメントを試作した. 標準稠度, 硬化時間を調べると, アパタイトの含有量が多いか, 粉液比 W/P が大きくなると硬化時間は長くなり, (3分〜12分), 標準稠度試験によるセメントの広がりも大きくなることがわかった. 圧縮, 曲げ, 引っ張り強度を調べると, 圧縮強度は700 kg/cm
2以上, 曲げ強度は250 kg/cm
2前後で, 引っ張り強度 (diametral tensile strength) は80 kg/cm
2前後となり, 歯科用セメントとして使用に耐えうることがわかった. これらのアパタイトセメント硬化体を, 37℃の耳下腺唾液, 生理的食塩水, 蒸留水中に放置すると, 形状変化はみられず, 圧縮強度はいずれも増大することがわかった. 試作したアパタイトセメント硬化体は多孔質体であった.
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