抄録
第2報では, 歯科鋳造用低溶融 32 Ni-23 Cu-25 Mn合金鋳造体組織に対する air-vent の影響について調べ, どのような air-vent system が組織の homogeneity に対して最適であるかを検討した.その結果, ADA規格フルクラウンタイプ咬合面中央垂直位にスプルー線を植立した場合 (0度) とフルクラウン咬合面縁端部偶角位に 45度の傾斜角をもって植立した方法 (45度)を選び, それらに blind-type と closed-type の air-vent を併用したとき, いずれの方法でも, デンドライティックな A 粒, 塊状な B 粒と粗大な C 粒がみとめられた. 特に, vent 効果は B 粒の腐食性に対して影響することがわかった. また, 鋳造体表層部の組織の種類とその分布をみると, 45度植立で blind-type の air-vent system 併用時に均一な粗大粒 C 粒の形成がみられ, その C 粒の分布は鋳造体全体にわたって均一であった. 以上の点から, 低溶融合金における air-vent system として45度植立, blind-type のものが最適であることが判明した.