28種類の市販充てん用レジンの吸水量および溶出量をISO(TC 106, WG 1/TG 9)の規格案に従って測定した. また 85℃, 48時間, 600 ml蒸留水を用いたソックスレー抽出と, 37℃, 1週間, 5 mlエタノール・水あるいはテトラヒドロフラン・水混合溶液を用いた抽出を行なった. その結果, 次のことが明らかになった.
1)無機質フィラーコンポジットレジンと有機質複合フィラーコンポジットレジンの吸水量と溶出量を比較した結果, 吸水量と溶出量ともに前者は後者より小さかった.
2)光重合型コンポジットレジンはレジン重合体表面を研磨するかしないか (非研磨) によって, 吸水量と溶出量に大きな相異がみられた. 非研磨の場合, 溶出量は大きかったが, 吸水量は小さくなった. これは表面の未反応モノマーおよび低分子化合物などが除去されなかったためと考えられる.
3)600 ml蒸留水を用いて, 85℃, 48時間, ソックスレー抽出を行った結果, 溶出量は ISO 規格案の測定値より大きな値を示した.
4)一般に, テトラヒドロフランのような極性の小さな溶剤による溶出量は, より極性の大きなエタノールの場合より大きかった. しかし, 有機質複合フィラーコンポジットレジンの中には有機溶剤抽出の結果, 膨潤したり, 一部崩壊するものもあった.
5)水, エタノール・水混合溶液による抽出後の充てん用レジン表面はフィラーが顕在化した.
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