歯科材料・器械
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原著
床用レジンの臭気に関する研究(その1): 重合前後の臭気の測定および加熱重合型レジンの成分の定性分析
山岸 利夫原 基塩谷 晴重輿 秀利伊藤 充雄
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1991 年 10 巻 2 号 p. 186-195

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抄録
口腔内に装着された義歯の持つ臭気の検討を行なうために, 加熱重合型, マイクロ波重合型および常温重合型流し込みタイプの各床用レジンのポリマー, モノマーおよびその重合試験片の臭気を測定した.また光重合型床用レジンの光照射を行なう前後と加熱圧縮成形型床用レジンの圧縮成形前後の材料の臭気を測定した.測定には金属酸化物半導体(SnO2)を利用し, オゾンガスによる基準雰囲気の中で測定を行なうことができる臭気測定装置ALABASTER(B&H LABO)を用いた.また, 3種類の加熱重合型床用レジンのポリマー, モノマーのガスクロマトグラフ分析を行ない, その内の1種類につきガスクロマトグラフマススペクトロメーターによる分析を行なった.これらの結果は以下に示す.1.加熱重合型のポリマーの臭気の測定値には有意の差が認められたが, モノマーの臭気の測定値には有意の差は認められなかった.2.重合試験片の臭気の測定値には有意の差は認められなかった.その測定値は重合前よりも小さかった.3.加熱圧縮成形型の臭気測定値はポリマーの中で最も小さかった.4.ガスクロマトグラフとマススペクトロメーターによる3種類のレジンの分析の結果, メチルメタクリレートとエチレングリコールジメチルメタクリレートが共通して認められた.1種類のレジンにはトルエン, エチレングリコールモノメチルエーテルが認められたが他の2種類のレジンには確認されなかった.これらのことと臭気の強さとの関係は明らかでなかった.
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© 1991 一般社団法人 日本歯科理工学会
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