抄録
18%Cr-8%Niステンレス鋼上における7種類の市販ろう付用フラックスと銀ろうの広がりを, それぞれ空気中750℃, 800℃で測定した.また, 同一のフラックスと銀ろうを用いたステンレス鋼棒ろう付部の引張強さを測定し, ろう付部全断面積に対するろうの接着面積率を計算した.フラックスと銀ろうの広がり, ろう付強さ, 接着面積率の各々には, フラックスの違いにより有意な差があった(p<0.01).フラックスの広がりと共に銀ろうの広がりは, 必ずしも増加しなかった.銀ろうの広がりを促進するフラックスは, ろう付強さを増加させ, 接着面積率を減少させる傾向があった.これらの結果から, フラックスは, その表面張力, 粘度, 酸化物溶解能力およびろうの表面張力低下作用において, それぞれ異なることが予想された.市販ろう付用フラックスは, 得られたろう付強さから判断して, 臨床的に受け入れられる.