抄録
歯科用合金と4-META/MMA-TBBO系レジンとの接着界面現象を理解するために, 表面処理を施した歯科用合金上に生成する表面皮膜の化学的構造をX線光電子分光分析(XPS)により決定した.3種類のNi-Cr合金(基本合金1種類と市販合金2種類)に対して70%リン酸水溶液および市販電解液を使用して陽極酸化処理を行い, その際に生成する表面皮膜を解析した.その結果, 皮膜中には少量のリン酸イオンが含まれており, また, 表面処理後の表面皮膜中のクロムの濃度は表面処理前に比較して増加した.また, 微量添加元素であるシリコンは皮膜生成に重要な役割を果たしていることがわかった.