歯科材料・器械
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原著
窩洞内でのアマルガムのクリープに関する有限要素法解析 : 咬合接触が残存歯質にある場合
浅岡 憲三河野 文昭桑山 則彦
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1992 年 11 巻 4 号 p. 584-591

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抄録

アマルガムの辺縁破壊がクリープと関係していることが知られている.そこで, 各種アマルガムのクリープの応力, 時間, 温度依存性が調べられてきた.しかし, アマルガムのクリープ特性と窩洞内でのクリープとの関係については, 定性的な推論がなされてきたにすぎない.本研究ではアマルガムの定常クリープひずみの応力, 時間依存が, εc=kσmtnで表されると仮定して, 軸対称弾性クリープ有限要素法により, 一級窩洞内でのアマルガムのクリープ挙動を解析した.ここで, 応力依存の指数mは2.0, 時間依存の指数nは1.0とした.また, アマルガムのクリープ値はADASの表示方法で0.1, 1.0と8.0%の合金を想定し, 咬合力は残存歯質に40Nの力が歯軸に垂直に加わると仮定した.その結果, 窩洞に充填されたアマルガムは応力が低くなるようクリープ変形し, クリープ速度が応力の関数であるところから, 窩洞内でのクリープひずみは直線的には増大しないことが明らかにされた.また, 充填物をもたない残存歯質の弾性変形がアマルガムのクリープと窩壁と充填材料の隙間を決める重要な因子であると推定された.

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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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