歯科材料・器械
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原著
リン酸塩系埋没材を用いたチタン鋳造体表面層の耐食性の検討
土居 寿米山 隆之小竹 雅人浜中 人士
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キーワード: チタン, 鋳造, 耐食性
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1992 年 11 巻 4 号 p. 672-678

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抄録
チタンの歯科鋳造技術はここ数年めざましい発展を遂げている.しかしチタンは溶融状態では非常に活性が高く, 鋳造体表面に鋳型との反応層を形成する.この報告では, チタン鋳造体の反応層の腐食特性について, 生理食塩水中での電気化学的手法およびSEMによる観察により検討した.3つの表面状態について試験を行った.条件Aは鋳型から取り出し超音波洗浄機により洗浄しただけのもの, Bはサンドブラストしたもの, Cは500μm以上研磨し表面仕上げをしたものである.条件Aの表面は他の条件よりも耐食性は低かったが, Ni-Cr合金, Co-Cr合金, 銀合金などの歯科用合金と比較すると高い耐食性を示した.表面状態の条件Bのボルタモグラムは, 条件Cの場合とほとんど同じであった.条件Bの表面状態のSEMによる試験前後の観察からは, 大きな変化は認められなかった.結果として, チタン鋳造体の表面の反応層は, 静的な条件の下では, 耐食性に関する信頼性は高いと考えられる.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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