歯科材料・器械
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原著
ヒドロキシアパタイト骨充填材の軟組織安定性に及ぼす溶出性状および形状の影響
川井 隆夫内藤 勲寺延 治島田 桂吉
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1992 年 11 巻 5 号 p. 746-753

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抄録
本論文はヒドロキシアパタイト系材料を, 軟組織の関与する部位へ適用する上で重要な賦形性, 初期の炎症, 長期の組織安定性に及ぼす充填材顆粒の形状ならびに溶出性状の影響について, 市販品3種と著者らが新たに開発した顆粒合わせて4種をラット腹部皮下に埋入して比較検討したものである.顆粒形状が凹凸で安息角が大きく, 溶出量の低いものほど早期より形状が安定し, 変形量も少なく賦形性がよい.顆粒周囲の結合組織は移植後4週で炎症も治まり安定するが, Caが過剰に溶出し, 溶出量の大きいものは安定までに3ヵ月を要した.しかし, 骨および軟組織の共存する領域で使用するためには骨伝導を促すためにCaおよびPの適度な溶出が必要なため, 著者らが新たに開発した, 表面が出来るかぎり緻密で骨の侵入しやすい50〜200μmの開気孔ならびに形状を有した多核粒子顆粒が有利であると考えられた.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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