歯科材料・器械
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原著
マンガンイオンを指標とした電子スピン共鳴法によるハイドロキシアパタイトの焼結機構
(第2報) 焼成時間の影響
足立 正徳土井 豊後藤 隆泰若松 宣一亀水 秀男金 昇孝森脇 豊
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1993 年 12 巻 1 号 p. 68-73

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抄録
ハイドロキシアパタイト(HAp)の焼成時間を変化させた場合のMn2+のESRシグナル強度変化および結晶構造の変化について検討した.
アパタイトの焼結に要する時間は, 焼結温度の上昇に伴って短くなり, 焼成温度が1, 200℃の場合には, 数十分で焼結が終了した.しかし, 焼結助剤としてリン酸リチウムを添加したアパタイトの場合には, アパタイト単味に比べて約200℃低い温度で焼結が始まった.さらにリン酸リチウムの存在は, アパタイトを高温度で長時間焼成した場合, アパタイトの分解を促進し, 多量のβ-TCPを発現させた.このβ-TCPの存在下では, Mn2+のESRシグナルが発現しなくなることが明らかになった.また, 電子スピン共鳴法では, アパタイトのβ-TCPへの分解過程も追跡できる可能性が示唆された.
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© 1993 一般社団法人 日本歯科理工学会
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