生体への安全性から, 著者らは純TiおよびTi-6Al-4V合金の既製ポストとしての適応性を検討しており, 第1報では機械的性質においてTi-6Al-4V合金がNi-Cr合金, 18-8ステンレス鋼ならびに純Tiよりも優れた金属材料であることを明らかにした.続く第2, 第3報では, 短期ならびに長期浸漬での成分金属の溶出挙動, またこれらが培養細胞に及ぼす影響を調べた.その結果, 純Tiでは1ヵ月の長期でもTiの溶出はみられず, Ti-6Al-4V合金ポストでは, Ag合金コアを鋳接するとAlの溶出がわずかに増加したが, ポスト成分による細胞増殖への影響は認められなかった.
本報では, メタルコア鋳接の影響をさらに検討するために, コア材としてAg合金の他にAu-Ag-Pd合金も用い, ポストにこれらを鋳接したポストコアの細胞形態への影響を調べた.メタルコアを鋳接すると著しい細胞への障害が認められたが, これは純TiおよびTi-6Al-4V合金ポストからではなく, メタルコアからの成分金属の溶出に基因するものであった.Ag合金コアを鋳接した場合は, コアから溶出したAg, Znが主として細胞質に毒性を示していたが, Au-Ag-Pd合金コアではAg, Znに多量のCuの溶出も加わるために, 細胞質のみではなく, 核質にまで強い毒性を示した.
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