1993 年 12 巻 2 号 p. 169-173
接着界面でのシランの耐水性を改善するために, 分子内に2個のメタクリル基を有するジメタクリレートシランを合成し, その耐水性を検討した.
ジメタクリレートシランで表面処理したシリカ面に対するレジンの接着強さは従来のγ-MPSに比べて高い接着強さを与えた.しかし, 試験体を温水中に浸漬すると, 接着強さの低下が見られ, 破壊部位はレジンの凝集破壊から界面破壊へと変化した.ジメタクリレートシランの耐水性がγ-MPSに比べて悪かったのは, 分子内に2個のメタクリル基を有すために有機基の立体障害がγ-MPSよりも大きく, 凝集力の高い吸着層が形成できなかったためと考えられた.しかし, 温水浸漬後に乾燥させた場合の接着強さは向上し, その破壊部位はレジンの界面破壊からレジンの凝集破壊へと変化した.