抄録
本研究は, キャスタブルガラスセラミックスと歯科用セメントとの接着力について検討することを目的としたものである.実験には, キャスタブルガラスセラミックス(リン酸カルシウム系)と, 4種類の歯科用セメント(グラスアイオノマーセメント, ポリカルボキシレートセメントおよび2種類の接着性レジンセメント)を使用した.キャスタブルガラスセラミックスにより円柱状試験体を作製し, 得られた試験体の被着面は, 1.シリコンカーバイドペーパー600番研磨, 2.シリコンカーバイドペーパー120番研磨, 3.アルミナによるサンドブラスト処理, 4.フッ化水素酸によるエッチング処理, 5.化学重合型歯科用ボンディング剤であるクリアフィルポーセレンボンドを使用したもの, 計5条件とした.接着に関しては, 被膜厚さ計を使用して被膜厚さを50μmに設定し, 2つのキャスタブルガラスセラミックスの試験体を接着させ, その後37℃, 湿度100%の環境下に24時間, 1週間, 1ヵ月間および3ヵ月間保存した後, 測定を行った.
その結果, グラスアイオノマーセメント, ポリカルボキシレートセメントとも, シリコンカーバイドペーパー600番研磨面ではほとんど接着性を示さず, シリコンカーバイドペーパー120番研磨面ではわずかながら接着性を示し, フッ化水素酸によるエッチング処理が最も効果的であった.一方, 接着性レジンセメントでは被着面の処理方法にほとんど関係なく高い接着強さを示した.また, せん断接着強さの経時的変化では3ヵ月間保存後にすべてのセメントの接着強さが減少し, 有意の差が認められた.