抄録
フラビーティシューを有する顎堤の印象採得に使用される印象材のうち, 酸化亜鉛ユージノール(Ha, Me), ポリサルファイドラバー(Su), シリコーンラバー(Co, Xa, Ex, Pr, Si)について, 各種荷重負荷条件下において, また, レオメータならびに応力緩和試験機を用いて, 23℃と37℃あるいは23℃のみでの硬化特性を測定した.
その結果, 硬化特性は, 系列によって異なり, 同系列内では比較的類似しているが, HaおよびPrは他のものより軟らかかった.
そこで, Ha, SuおよびPrの硬度特性を比較した.
1. 練和終了直後の硬さ:Prが最小
2. 軟らかさの持続時間:Ha>Su>Pr
3. 操作時間と硬化時間:Prが最小
4. 硬化反応の急速さ:Ha>Pr>Su
5. 練和終了直後の荷重依存性:Ha>Pr>Su
6. 温度依存性:Ha>Su>Pr
以上の結果から, 術者の臨床経験(印象操作時間, 印象用トレーの圧接力など)が硬化特性に影響すると考えられた.したがって, flabby tissueの印象採得にあたってはこれらの硬化特性に留意して印象材を選択すべきである.