歯科材料・器械
Online ISSN : 2188-4188
Print ISSN : 0286-5858
ISSN-L : 0286-5858
原著
コンポジットレジンの未前処理研磨象牙質への接着に関する研究
早川 徹
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 12 巻 4 号 p. 455-465

詳細
抄録
コンポジットレジンと未前処理研磨象牙質面の接着における光重合型ボンディング剤の効果について調べた.光重合型ボンディング剤の主成分としてはメタクリロイルチロシンアミド(MTYA)とグリセリルメタクリレート(GM)を用いた.これに水溶性光重合開始剤である2-ヒドロキシ-(3, 4-ジメチル-9H-チオキサンテン-2-イロキシ)-N, N, N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロリド(QTX)を配合して, 2-(N, N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA), およびベンゼンスルフィン酸ナトリウム(BSNa)と組み合わせて用いた.
 新鮮牛象牙質を注水下, #1000の砥石で研磨した.光重合型ボンディング剤は2液型であり, 混合かくはんして使用した.研磨象牙質面に光重合型ボンディング剤を適応した後, 1分間光照射した.次にプロテクトライナー(クラレ)を充填し, 1分間光照射して重合させた.37℃水中に1日浸漬後に, 引張り接着強さを測定した.
 光重合型ボンディング剤(A1: 6%MTYA+70%GM+4%DMAEMA+1%BSNa水溶液, BSu3:3%コハク酸+5%グルタルアルデヒド+2%QTX水溶液)を1分間作用させると平均値で約6 MPaの接着強さが得られ, さらに5分間作用させると平均値で約11 MPaの接着強さが得られた.アクリルアミドグリコール酸やphenyl-P等重合性基を有する酸性モノマーをボンディング剤のB液に添加したがコハク酸ほど接着強さの向上には効果がなかった.
 A1とBSu3の混合液を5分間作用させた時に約2 μmの幅で樹脂含浸層が生成しているのがSEMで観察された.
著者関連情報
© 1993 一般社団法人 日本歯科理工学会
次の記事
feedback
Top