抄録
本研究では, マイクロ波重合による義歯床の適合性の向上を目的として試作した注入式FRPフラスコ内の石こう温度に関しての基礎資料を得るためにα半水石こうに種々の添加剤を加え, またマイクロ波出力を変えることでこれらの条件がフラスコ内石こう温度に与える影響について検討を行い以下の結論を得た. 1. 本実験は, 光学的な手法で温度計測を行っているため電子レンジ内の強磁界中での連続的な計測が可能となった. マイクロ波照射時に急速加熱と熱伝導の影響を受ける石こうの温度分布を正確に把握するためには, 光ファイバサーモメータによる計測が有効であった. 2. α半水石こうに導電物質を添加することで, その添加量にほぼ比例してマイクロ波照射時の石こう温度を上昇させることが可能となった. 3. 500W照射時と比較して90W照射ではマイクロ波による石こうの急速加熱が緩和され, 口蓋部と辺縁部での温度差が少ない均一な温度上昇を示した.