抄録
チタンおよびチタン合金を用いた補綴物の接合には, チタンろう材によるろう付が望ましい. そこで, ろう付を行うためのチタンろう材について, その組成およびろう付強さを測定した.組成分析には波長分散型X線マイクロアナライザーを用いた.ろう付方法は, 純チタン棒(JIS3種)を用いて, 赤外線ろう付器によりアルゴンガス雰囲気中で行った.
その結果, 現在市販されているチタンろう材は, Ti, Ni, Cuなどからなり, その構造はTiとNi-Cu合金を積層した積層ろう材であった. ろう材組成は, Ti50〜67 wt%, Ni17〜30 wt%, Cu16〜20 wt%の範囲であった. これらのろう材のろう付引張強さは, 392〜516 MPaの範囲の値を示した.