抄録
11種の超硬質せっこうを含む21種の市販模型用せっこうの耐チッピング性について, 先に報告した2種の試験法を用いて定量的に評価した. これらの試験法の1つは, 回転型メタルソーで切断したときに生じるチッピング部の平均チッピング幅, 最大チッピング幅を測定する方法であり, もう一方は, 回転型メタルソーで破壊することなく切断可能な最小の厚さを測定する方法である.
得られた平均チッピング幅, 最大チッピング幅そして切断最小厚さは, それぞれ製品間で有意な差があった. また, 平均チッピング幅と最大チッピング幅については, 超硬質せっこう群と硬質せっこう群との間において有意な差があった. しかし, 切断最小厚さについては, 2群間で有意な差は観察されなかった.
平均チッピング幅, 最大チッピング幅, 切断最小厚さの各測定値の間には, それぞれ有意な正の相関が認められた. さらに, 切断時間の対数と平均チッピング幅, 最大チッピング幅, 切断最小厚さの各測定値との間にもそれぞれ有意な正の相関が認められた.
また, 試験片中に存在する余剰水分が, これらの歯科用せっこうの耐チッピング性に対して影響を及ぼしていることも示唆された.