歯科材料・器械
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原著
陶材焼付用パラジウム-銀系合金にチタン, ジルコニウム, シリコンを添加したときの諸性質
吉成 純一
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1995 年 14 巻 6 号 p. 650-667

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抄録
 陶材焼付用合金と陶材との溶着力を増すための新しい添加元素を探索する目的で, パラジウム-銀合金にチタン, ジルコニウム, シリコンを添加した15種の合金の諸性質を調べ, 以下の結論を得た.
 硬さ(HV)では, すべて150以上となり, シリコン3wt%添加が最大となった. 引張強さでは, シリコン添加率が増すと強さは減少した. 伸びでは, チタン4wt%添加が最大値となり, シリコン添加率が増すと減少した. 硫化ナトリウム水溶液による変色では, 浸漬前後の色差においてシリコン添加率が増すと大きくなった. 乳酸水溶液による重量変化では, チタン添加率が増すと重量が大きくなり, シリコン添加率が増すと小さくなった. 熱膨張係数は, 上昇時(37→650℃)でシリコン添加率が増すにつれて大きくなった. 下降時(650→37℃)では, チタン添加率が増すにつれて小さくなり, シリコン添加率が増すにつれて大きくなった. 熱膨張ヒステリシスでは, シリコン1wt%添加で最大値, シリコン2〜3wt%添加で最小値となった. 陶材焼付強さでは, ジルコニウム添加率が増すにつれて焼付強さは大きくなり, シリコン添加率が増すにつれて小さくなった. 以上から, チタンは約2wt%, ジルコニウムは2〜4wt%, シリコンは1wt%未満が良好であり, 今回の実験組成では合金48wt%Pd-48Ag-2Ti-2Zrが最良であった.
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© 1995 一般社団法人 日本歯科理工学会
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