2021 年 76 巻 5 号 p. I_909-I_917
近年,子供の習い事の多様化と,習い事をする子供の増加により,子育て世帯の親の送迎の時間的制約は増している.特に,送迎手段を自動車に依存する地方都市では,居住地の公共交通サービスレベルにより差が生じていると考えられる.本研究は,宇都宮市をケーススタディとして,子供の習い事と親の食料品の買い物に着目し,道路ネットワークと施設の立地データを用いて,トリップチェインおよび時空間プリズム制約も考慮した子育て世帯の居住地のアクセシビリティの分析を行った.その結果,習い事施設の種類や,習い事施設と買い物施設の立地関係に依存してアクセシビリティが異なるが,居住誘導区域のアクセシビリティが高いこと,LRT導入により所要時間が短縮される地域や,送迎の必要がなくなり親の移動時間の削減に寄与すること等を明らかにした.