抄録
臨床における鋳造体の必要条件は内部欠陥, 外部欠陥がなく, 正確に適合することである.多くの研究者により各金属の適合についての検討を金型を用いて行われてきた.しかしそれらの鋳造体は臨床の鋳造冠と比較して厚いのが実情である.そこで本研究は各金属における鋳造冠の厚さが適合性に及ぼす影響について検討した.その結果, 以下の結論が得られた.1.鋳型を統一した場合, パターンの厚さが増加すると高融点の金属は鋳造収縮が大きく認められた.2.各埋没材にAg-Pd-Au合金を用い鋳造したとき, パターンの厚さの増加は適合性にほとんど影響しなかった.3.各埋没材に各金属を用い鋳造したとき, パターンの厚さの増加は, 埋没材の種類によって適合性に影響をしやすいものとしにくいものとが認められた.4.埋没材の硬化膨張と熱膨張測定装置によって得られた熱膨張量の値は必ずしも鋳造冠の適合と一致しなかった.