抄録
象牙質を10%リン酸でエッチングした後, 水洗, 乾燥し, 30%HEMA水溶液にPhenyl-Pを溶解したプライマーを作用させた後, 光重合型レジンを接着させた試料の縦断面をSEM観察し, 収縮した脱灰象牙質を回復させるプライマーの組成と作用時間を検討した.その結果, プライマー中に溶解したPhenyl-Pは収縮した脱灰象牙質を短時間で回復させ, 脱灰象牙質のモノマーの透過性の改善に有効であることがわかった.また, Phenyl-Pは脱灰象牙質より深部にある健全象牙質を脱灰しつつ拡散するため, リン酸エッチングによる脱灰深さよりも厚い樹脂含浸象牙質を生成させることがわかった.