メタルの種類およびメタル焼付面の表面あらさがオペーク陶材/メタル界面のモードI破壊靱性に及ぼす影響について, メタルには, 貴金属合金(Au-Pt系), セミプレシャス合金(Au-Pd系, Pd系)および非貴金属合金(Ni-Cr系)を採用して検討した. メタル焼付面(Ni-Cr系)の表面あらさは, サンドプラスト処理(50, 125 μm), エメリペーパー(#40)およびリテンションビーズ(100 μm)付与と, 表面処理方法を変えることによって形成させた. その結果, 以下の結論を得た. すべてのメタルの種類において, き裂進展過程における界面破壊靱性値は一定値となることが分かった. 界面破壊靱性値(G
IC)は, 非貴金属合金(G
IC=18.5 J/m
2)の場合が最も高い値を示し, これよりもセミプレシャス合金, 貴金属合金の順に14〜20%程度低い値を示した. 一方, 表面あらさが顕著になるほど, メタル面に観察され, オペーク陶材の残存量は多く, また, オペーク陶材内の気泡の数も増加する傾向が認められた. エメリペーパー処理試験片のG
IC値は, サンドプラスト処理の場合よりも10%程度大きくなるに過ぎなかった. しかしながら, リテンションビーズ付与試験片のG
ICは3倍以上も向上し, その効果が認められた. また, ここで採用した界面破壊靱性試験方法は, 新規歯科材料開発のための評価方法の一つとして有効であることが分かった.
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