抄録
今回我々は, 試作レジン(クラレ)を用いた, 新しいレプリカ法を開発した.口腔内修復物の表面性状を評価するために多くのレプリカ法が報告されているが, そのほとんどは2段レプリカ法である.この新しい方法は1回法であり, その利点は操作の容易さと, 時間が短縮されることにある.欠点は, 陰型レプリカ法であり, 得られる像が反転することである.この点を改善するために, この試作レジンを用いた2回法も開発した.これらの方法の形態と寸法再現性をSEM観察と表面粗さ測定によって従来法と比較して検討し, 以下の結論を得た.1.3種類の方法とも同様の寸法再現性を示した.2.SEM観察によると, 試作レジン1回法は良好な形態再現性を有していた.3.試作レジン1回法は口腔内修復物の表面性状の評価に有効と思われる.