歯科材料・器械
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原著
生体内分解性材料の研究 ―ポリ乳酸/コポリセバシン酸エステルブロックポリマーおよびそのリン酸カルシウムとの複合材の分解性―
長井 恵
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2000 年 19 巻 1 号 p. 56-64

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抄録
ポリ乳酸(PLA)/コポリ(エチレンセバシン酸/ヘキサメチレンセバシン酸)ブロックポリマー2種類とそれにリン酸カルシウム(CP)を10%, 30%ブレンドした複合材料, および比較材料としてPLAを取り上げ, その分解性を検討した。試料フィルムを37℃のリン酸塩緩衝液(pH7.4)に最長1年間浸漬し, 吸収率, 引張強さ, 分子量, 熱的性質の変化を測定した.その結果, これらの性質の変化は, ポリマーの種類, CPの添加量により異なっていた.ブロックポリマー中のコポリセバシン酸エステルの比率を多くすることにより, 分解は促進される傾向, またCPを添加することによりポリマーの分解は抑制される傾向が認められた.DSC分析の結果から, ブロックポリマーの分解には材料の結晶化が関与してくることが推定された.本研究科の結果, ポリ乳酸とコポリセバシン酸エステルの比率を変えたり, またそれにリン酸カルシウムを添加することにより, 多様な分解挙動を示す材料を作り出せる可能性が示唆された.
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© 2000 一般社団法人 日本歯科理工学会
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