抄録
チタン表面にグロー放電処理を行い, 表面ぬれ性を向上させることが本研究の目的である.当教室では以前に小型のグロー放電処理装置を開発し, チタン表面にグロー放電処理を行い, そのぬれ性の向上および細胞初期付着について検討したが, 処理条件の検討については行われなかった.今回の研究では, 新たに処理条件の調整可能な試作グロー放電処理装置を開発し, ぬれ性向上に対する最適な処理条件を模索した。また決定されたグロー放電処理により, チタン表面への血液タンパクの親和性および, 本装置の滅菌効果について検討した.その結果, グロー放電処理によるぬれ性の向上は, 放電中の電流値に依存することが判明した.このぬれ性の向上により, グロー放電処理を施したチタン板表面は未処理の表面上に比べ, 高いレベルの血液タンパクの付着を示した.また, 本処理はチタン表面に対し, 完全な滅菌効果を示した. 以上より, グロー放電処理はチタン表面を洗浄化し, その生体親和性を向上させることが判明した.