抄録
市販陶材, 化学量論的正方晶リューサイト, セシウムを添加した低温安定型立方晶リューサイト, 長石系ガラス単体および, ガラス転移温度の異なるガラスとリューサイトの混合物の熱膨張曲線を熱膨張計により測定し, さらに, 高温X線回折による格子定数の変化よりリューサイトの熱膨張係数を求め, リューサイトの相変態に伴う熱膨張挙動の変化とガラスの熱膨張挙動との関連を検討した.陶材全体の熱膨張挙動は, リューサイトの600〜650℃の相変態よりも, ガラスマトリックス自体の熱膨張挙動が大きく関与していると考えられた.残留応力を大きく残し, 機械的強さを向上させるためにはリューサイト周囲に接触するガラスマトリックスのガラス転移温度は650℃以上であることが望ましいと考えられた.