抄録
4-META/MMA-TBB系レジンを接着剤に使用し, 新鮮抜去ウシ象牙質を10%クエン酸-3%塩化第二鉄溶液で30秒間洗浄(10-3洗浄)した場合の接着強さは18MPaを示す.しかし65%リン酸溶液でエッチングすると6MPaに低下する.一方, 25%グルタルアルデヒドで象牙質を処理した場合は, リン酸エッチングでは11MPaを示すが, 10-3洗浄した場合, 6MPaに低下する.以上の事実は象牙質への接着には, コラーゲンの性質が大きく影響することを示唆している.すなわち, 前処理に用いた酸によるコラーゲンの変性を防止できれば, 象牙質への接着強さが向上する可能性がある.