抄録
Hanks液, EagleのMEMにそれぞれ浸漬した組織構造の異なる歯科用ベース合金, Ag-8wt.%Cu合金の表面状態の変化を光顕および電顕によって観察するとともに成分元素の溶出や腐食生成物の折出に伴う重量変化を測定した.その結果, Hanks液に浸漬した試料では表面にAgClが生成され重量は増加した.これに対しEagleのMEMに浸漬した試料では表面に生成されるのはAg5P2O6Nであり, かつ重量は逆に減少することがわかった.組織構造によるちがいの影響はいずれの溶液に浸漬した場合においても重量変化および表面における腐食生成物の折出挙動のそれぞれに認められた.