抄録
二室加圧型鋳造機ではその構造上,鋳型空洞は鋳込み直前までアルゴンガスで満たされ,溶解室と同じ圧力である.したがって,鋳込み直後の鋳型空洞のガスの排出挙動が鋳造体の鋳込み不足や内部欠陥の生成に影響する.そこで,二室加圧型鋳造機の鋳込み過程を模した室温鋳型について,鋳型空洞の圧力変化を計測しこれを鋳造圧に換算し,溶解室と鋳造室の設定圧力および鋳型の通気度が鋳造圧におよぼす影響を検討した.その結果,鋳型の通気度が大きいほど,また,溶解室と鋳造室の圧力差が大きいほど,鋳込み初期の鋳造圧の立ち上がりが速く,高い鋳造圧が得られた.これらから鋳造機構に適した通気度をもつ鋳型を選択することの重要性が示唆された.