歯科材料・器械
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22 巻, 1 号
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原著
  • 平口 久子, 中川 久美, 内田 博文, 田辺 直紀
    原稿種別: 本文
    2003 年22 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    高齢者への訪問歯科診療における印象の消毒処理方法に関する研究の一環として,アルジネート印象の薬液浸漬消毒が,片側顎堤断面模型の寸法精度および変形に及ぼす影響を印象用トレータイプを変化させて調べた.アルジネート印象材は,水中での寸法変化の小さいアローマファインDFIII(AFIII),寸法変化の大きいジェルトレートプラス(JLP)を使用した.印象用トレーは,有孔および無孔,近遠心方向が密閉および開放のそれぞれを組合わせた4種類を使用した.印象の薬液浸漬条件は,1%次亜塩素酸ナトリウム溶液中10分間浸漬,2%グルタルアルデヒド溶液中30分間浸漬とした.その結果,AFIIIでは,いずれのトレータイプでも,1%次亜塩素酸ナトリウム溶液中10分間浸漬による方法によって,印象の薬液浸漬による模型の寸法精度および変形の影響を少なくできることが判明した.
  • 廣瀬 英晴, 平口 久子, 笹尾 道昭, 高岡 謙次, 臼井 伸行, 椎名 芳江, 西山 實
    原稿種別: 本文
    2003 年22 巻1 号 p. 10-20
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,中型鋳造用リングの寸法を模した分割金型を作製し,乾ライナーを内張りした分割金型内に埋没材練和泥を注入硬化させ,埋没材硬化後でのライナーの厚さの変化を検討した.埋没材の硬化膨張は0.35%で,この膨張に対応したライナーの厚さの必要減少値は,0.05mmであった.ライナーの厚さの減少値は,-0.075〜0.278mmを示した.ライナーの厚さの減少値は,鋳造用リングの下側の方が上側より大きくなる傾向を示した.ライナーの厚さの減少値は,ライナーの元の厚さが大きいほど大きくなる傾向が認められた.吸水性の高いライナーでは,ライナーの吸水性,保水性などの違いによって,硬化膨張の増大や吸水膨張の発現に違いが生ずることが示唆された.吸水性の小さいライナー群では,ライナーの厚さの減少値は,硬化膨張測定器を用いて得た緩衝量が大きいほど大きくなる傾向が認められた.
  • 深瀬 康公, 掛谷 昌宏, 金田 光正, 西山 實
    原稿種別: 本文
    2003 年22 巻1 号 p. 21-30
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    これまでの表面粗さに関する著者らの研究で,粗さ標準片にみられる表面粗さの値は測定走査角度によって変化することが判明した.すなわち,測定走査角度の変化によって,表面粗さの値は,本来の表面性状とは異なる見かけの値をとることがある.本研究の目的は,方向依存性を有する粗さ標準片のような表面の表面粗さを検討することと,さらに表面粗さの波長のパラメータの等価式を用いて適切な測定走査角度を選定することである.適切な測定走査角度は,Rλa-公差法(Rλa-TOL法)によって,Rλaの等価式の10%TOL範囲内に設定された.Rλa-TOL法は,粗さ標準片のような方向依存性を有する表面粗さを測定するために有効な方法であった.
  • 本郷 敏雄, 日景 盛, 佐藤 温重
    原稿種別: 本文
    2003 年22 巻1 号 p. 31-36
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    歯科用アクリルレジンモノマーによる細胞膜脂質流動性の変化とNeutral red法による細胞毒性試験法との相関についてヒト臼歯歯根膜由来のPL細胞を用いて検討した.細胞毒性試験から50%の細胞に毒性を発現させる濃度を測定した.モノマーを3時間作用させた場合の細胞毒性の効力順位はtrimethylolpropane trimethacrylate (TMPT)≥epoxy methacrylate (D-GMA)>1,4-buthane diol dimethacrylate (BD)>1,3-buthylene glycol dimethacrylate (BG)>ethylene glycol dimethacrylate (1G)>triethylene glycol dimethacrylate (3G)>methyl methacrylate (MMA)であった.一方,モノマーを24時間作用させた場合でもほぼ同じ作用順位であった.1-(4-trimethylaminophenyl)-6-phenyl-1,3,5-hexatrieneで蛍光ラベル化した細胞で,レジンモノマーによる蛍光異方性の変化を検討したところ,その変化はD-GMA>1G≥TMPT>BG≥BD>3G>MMAの順に大きく,細胞毒性試験結果との相関性も高かった.膜脂質の流動性変化を指標とした毒性試験法は細胞毒性試験法の有力で簡便な代替法になりえると考えられる.
  • 大川 成剛, 金谷 貢, 渡辺 孝一, 中野 周二, 宮川 修
    原稿種別: 本文
    2003 年22 巻1 号 p. 37-44
    発行日: 2003/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    二室加圧型鋳造機ではその構造上,鋳型空洞は鋳込み直前までアルゴンガスで満たされ,溶解室と同じ圧力である.したがって,鋳込み直後の鋳型空洞のガスの排出挙動が鋳造体の鋳込み不足や内部欠陥の生成に影響する.そこで,二室加圧型鋳造機の鋳込み過程を模した室温鋳型について,鋳型空洞の圧力変化を計測しこれを鋳造圧に換算し,溶解室と鋳造室の設定圧力および鋳型の通気度が鋳造圧におよぼす影響を検討した.その結果,鋳型の通気度が大きいほど,また,溶解室と鋳造室の圧力差が大きいほど,鋳込み初期の鋳造圧の立ち上がりが速く,高い鋳造圧が得られた.これらから鋳造機構に適した通気度をもつ鋳型を選択することの重要性が示唆された.
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