抄録
銀を抗菌性物質としてもつモノマーであるメタクリル酸銀(MAg)を用い, 抗菌性歯科用レジンの可能性を試みた.すなわち, MAgのメタクリル酸メチル(MMA)に対する溶解性を調べ, 次にMAgを含有するMMAの重合体を調製し, 重合体の圧縮および曲げ強さ, ならびに重合体から水に溶出する銀の溶出量を評価した.その結果, MAgはMMAに84μmol/l溶解し, その濃度は抗菌性を発現できる範囲内であった.MAg含有重合体は, 無色透明であり審美的にも問題はなかった.重合体の圧縮および曲げ強さはPMMAと有意差は認められず, 重合体からの銀の溶出も少なく抗菌性歯科用レジンとして期待できた.