歯科材料・器械
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24 巻, 6 号
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原著
  • 柿本 和俊, 藤岡 宗之輔, 井上 太郎, 岡崎 定司, 小正 裕
    2005 年24 巻6 号 p. 421-430
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    レーザー溶接部に発生するポロシティの多くは溶接時に発生するキーホールの一部が残留したことに原因があり, パルス波形が影響すると考えられる.そこで, パルス波形が矩形波の場合のポロシティの発生について検討した.研究材料には, CPチタンと鋳造用コバルトクロム合金を用いた.出力, パルス幅および焦点はずし距離を変化させてシングルパルスYAGレーザー照射を行って, スポット溶接部を形成した.そして, 溶込み形状を計測するとともに, 発生したポロシティを観察した.その結果, 矩形波のパルスYAGレーザー溶接においては, コバルトクロム合金のほうがCPチタンよりもポロシティが発生しやすかった.そして, CPチタンでは溶込み深さが1.5mm以下であればポロシティのない溶接が可能であるが, コバルトクロム合金では, ポロシティのない深い溶込みを得ることは非常に困難であることが判明した.
  • 岡田 英俊, 石田 喜紀, 野口 博志, 長山 克也
    2005 年24 巻6 号 p. 431-438
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は操作性, 接着強さに優れ, さらには暫間修復物撤去後の支台に対する残存性が少ない仮着材を開発することである.試作材(PEE)の基材は粉末がポリエチルメタクリレート, 液がユージノールである.この研究ではPEEの粉液比を1.0〜1.6の条件とした.また, 市販されている仮着材をコントロールとした.以下の結果が得られた.PEE1.6はPEE1.0〜1.4より稠度が大きく, 被膜厚さが厚く, そして溶解率が小さくなっていた.また, サーマルサイクル試験後の接着強さにおいてPEE1.6とコントロール間では有意差は認められなかった.接着試験後の試料の観察において, PEE1.6の試料ではステンレス製支台金型における材料の付着が認められなかった.以上のことから, 試作材PEE1.6が臨床的に適しているのではないかと推察された.
  • 淺岡 憲三, 前島 邦光
    2005 年24 巻6 号 p. 439-445
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    チタン(Ti)は活性な金属であるが, その酸化膜が耐食性を付与している.したがって, 酸化膜を制御することが, その利用にあたり不可欠な要因である.本研究では, 純Tiを大気中800℃で熱処理し, 酸化膜を形成した.また, 熱処理した試料とその酸化膜を除去した試料を酸性フッ化ナトリウム溶液に浸漬した.昇温脱離分析により, 各試料から脱離する分子を測定し, 酸化膜のTiの保護効果について検討した.その結果, 脱離した分子が特定でき, かつ水素が試料から脱離する量が定量できた.酸化膜の有無により, 水素の脱離挙動, 化学的侵食は著しく異なっていた.以上のことから, Tiの化学的性質には表面被膜の状態が大きく影響し, その評価には昇温脱離分析法が有効な検証方法であると結論した.
  • 山﨑 恵理香, 吉田 隆一
    2005 年24 巻6 号 p. 446-458
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    熱膨張係数が小さい合金(INV)と比較的大きい合金(SUS)にてインレーとクラウン, 窩洞と支台を作製し, それぞれをリン酸亜鉛, ポリカルボキシレート, グラスアイオノマー, レジン系セメントの4種類の歯科用セメントで接着し, 浮き上がり量を計測してから被膜厚さを計算した.練和・混和の10分後より5℃と55℃の水槽にそれぞれ30秒間浸漬し, 荷重負荷ありではこの間に10秒間60kgfを2回負荷し, 1000回の熱サイクル試験後, 引張接着試験を行い接着強さを測定した.接着強さは, レジン系セメントが最も大きく, 次がポリカルボキシレートセメントであり, リン酸亜鉛セメントとグラスアイオノマーセメントがほぼ同じであった.インレー, クラウン共に内側の試料がステンレス鋼(SUS), 外側の試料がアンバー合金(INV)のときに接着強さが小さかった.クラウンがINVでは荷重負荷なしの方で接着強さが大きく, クラウンがSUSでは逆に荷重負荷ありの方で接着強さが大きかった.
  • 原島 厚, 山崎 淳史, 本多 宗曉, 長沢 悠子, 尾松 純, 長谷川 義朗, 倉持 健一, 山賀 谷一郎, 日比野 靖, 中嶌 裕
    2005 年24 巻6 号 p. 459-465
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, ガラスファイバーポストの配置と直径が, ガラスファイバーポストと支台築造用コンポジットレジンとの複合体の強さに及ぼす影響を明らかにすることである.実験には重合方式の異なる3種類の支台築造用コンポジットレジン, 3種類の直径の異なる2種類のガラスファイバーポストを使用した.ガラスファイバーポストを上部(圧縮側)および下部(引張側)に配置し, 支台築造用コンポジットレジンを積層した複合体を実験材料とし, 3点曲げ強さを求めた.さらに, ヒト抜去小臼歯を用いて根管治療後, ガラスファイバーポストと支台築造用コンポジットレジンによる支台築造体の破断荷重も求めた.3点曲げにおいてガラスファイバーポスト下部配置では, 上部配置と比較して有意に大きな曲げ強さを示した(p<0.05).ガラスファイバーポスト直径の影響は, 直径が大きくなると曲げ強さ, 抜去歯を用いた破断荷重の両者とも大きくなる傾向を示した.
  • 倉田 茂昭, 二瓶 智太郎, 楳本 貢三
    2005 年24 巻6 号 p. 466-470
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー
    銀を抗菌性物質としてもつモノマーであるメタクリル酸銀(MAg)を用い, 抗菌性歯科用レジンの可能性を試みた.すなわち, MAgのメタクリル酸メチル(MMA)に対する溶解性を調べ, 次にMAgを含有するMMAの重合体を調製し, 重合体の圧縮および曲げ強さ, ならびに重合体から水に溶出する銀の溶出量を評価した.その結果, MAgはMMAに84μmol/l溶解し, その濃度は抗菌性を発現できる範囲内であった.MAg含有重合体は, 無色透明であり審美的にも問題はなかった.重合体の圧縮および曲げ強さはPMMAと有意差は認められず, 重合体からの銀の溶出も少なく抗菌性歯科用レジンとして期待できた.
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