抄録
本研究の目的は, ガラスファイバーポストの配置と直径が, ガラスファイバーポストと支台築造用コンポジットレジンとの複合体の強さに及ぼす影響を明らかにすることである.実験には重合方式の異なる3種類の支台築造用コンポジットレジン, 3種類の直径の異なる2種類のガラスファイバーポストを使用した.ガラスファイバーポストを上部(圧縮側)および下部(引張側)に配置し, 支台築造用コンポジットレジンを積層した複合体を実験材料とし, 3点曲げ強さを求めた.さらに, ヒト抜去小臼歯を用いて根管治療後, ガラスファイバーポストと支台築造用コンポジットレジンによる支台築造体の破断荷重も求めた.3点曲げにおいてガラスファイバーポスト下部配置では, 上部配置と比較して有意に大きな曲げ強さを示した(p<0.05).ガラスファイバーポスト直径の影響は, 直径が大きくなると曲げ強さ, 抜去歯を用いた破断荷重の両者とも大きくなる傾向を示した.