歯科材料・器械
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原著
歯科鋳造用Au-Co-Ni系磁性合金の研究(第1報)
原 正明
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1984 年 3 巻 5 号 p. 636-641

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抄録
近年, 希土類コバルト磁石(Sm-Co磁石)が開発された.この磁石の磁気特性は, 従来のアルニコ磁石, フェライト磁石に比べて, はるかにすぐれている.このSm-Co磁石を使って, 歯科医学, 特に補綴学の分野においてよい結果が得られている.最近Pd-Co-Ni系の歯科鋳造用軟質強磁性合金が開発され, この合金を使うことで, 口腔内での磁石の利用が容易となった.本報では, 新しく, 歯科鋳造用磁性合金としてAu-Co-Ni系磁性合金について検討し, 溶融温度, 機械的性質, 磁気的性質, 微細組織, 及び耐食性について実験を行なった.結果は以下の通りである. 1) Au-Co-Ni系合金は充分な飽和磁束密度を持つ軟質強磁性を示した.特にCoの添加量により, 大きな飽和磁束密度を示した. 2) 高カラット部分で低い融点を示し, 他の組成でも1275℃以下の融点を示した. 3) 機械的性質は良好であった. 4) 1%NaCl溶液に対する耐食性はやや悪かった.
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© 1984 一般社団法人 日本歯科理工学会
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