歯科材料・器械
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原著
リン酸塩系埋没材の膨張と鋳造精度 : 第2報 Ni-Cr合金鋳造体の寸法精度と適合性への影響
小園 凱夫田島 清司柿川 宏林 一郎
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1984 年 3 巻 6 号 p. 767-774

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抄録
前報において, リン酸塩系埋没材の膨張, とくに硬化膨張は, 練和条件および製品ロットの違いによって著しく変化することを報告した.今回は, これらの膨張の変動に伴うNi-Cr合金鋳造体の寸法精度ならびに適合性の変化について検討した.リングには、セラミックライナーを1枚裏装した.とくに硬化膨張を抑えた埋没材製品を使用した場合を除いて, 六角柱状鋳造体はワックスパターンより大きくなった.このようにNi-Cr合金の鋳造収縮は補償され得るが, クラウンはほとんどの場合, 支台模型上で浮上りを生じた.埋没材の硬化膨張が大きくなると, 鋳造体寸法は大きくなり, クラウンの浮上りは小さくなっていき, 硬化膨張が最も大きくなる条件であったL/P比を小さくした場合には, 浮上りは全く認められなかった.埋没材製品ロット間で著しい硬化膨張の差異がみられたが, その影響をうけて, クラウンの浮上りにも著しい差が認められた.
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© 1984 一般社団法人 日本歯科理工学会
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