抄録
メタル・セラミックス用陶材の軟化温度を明らかにする目的で, 熱膨張曲線, 荷重軟化温度, 塑性変形速度を求め比較検討した結果以下の結論を得た. 1. 焼成陶材の熱膨張曲線における収縮開始および熱膨張係数の減少する温度は陶材の軟化温度とは異なり, 焼結の進行に伴なって生ずるものである. 2. 1, 000kgf/cm2〜20kgf/cm2の応力下における荷重軟化温度は600℃以上にあり, 600℃以下では陶材の塑性変形による応力緩和は生じない. 3. 各陶材の塑性変形速度から粘度を算出し, 典型的ガラスと比較して軟化温度を求めるとJelenko陶材861℃, Ceramco陶材900℃, Vita陶材846℃付近となり, 歪点はJelenko陶材527℃, Ceramco陶材497℃, Vita陶材526℃付近となった.