抄録
物性の優れたコンポジットレジンの開発を目的として微粒子シリカ粉をフィラーとしたレジンを試作し, その性質をしらべた.試作レジンはBis-GMAとTEDMAのコモノマーおよび次の種類のフィラーより作製した.1)MF, 表面処理された0.05μのエアロジール 2)CF, 50%のMFを含む粉砕型架橋レジンのコンポジット 3)MFとCFの混合物 50%のCFを含むコンポジットレジンではフィラーの粒子が小さいほど圧縮強さが大きくなり, その他の性質では粒子径による差異が少なかった.試作レジンの物理的, 機械的性質は, 硬化物中のシリカ量に比例して向上した.シリカの含有率による物性の上昇率から複合効果を明らかにしたところ, 圧縮強さの複合効果は3.7, 弾性率は2.3, ロックウェル硬さ, 熱膨張率および引張り強さの複合効果は約1倍であった.コーンプレート型粘度計で測定したMFを含むレジンの粘度は, ずり速度の増加とともに粘度は低下してthixotropyを示した.CFを含んだレジンの場合, 粘度におよぼすずり速度への影響は小さく, MF+CFの場合はほぼ中間の傾向を示した.