歯科材料・器械
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原著
複雑な鋳造体用インレーワックスの試作とその物理的性質
片倉 直至荒木 吉馬川上 道夫
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1986 年 5 巻 2 号 p. 246-251

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抄録
インレーワックスは収縮や応力緩和の大きい材料であるが, これらの性質は必ずしも欠点であるとは限らず, たとえば内側性部分のセメント層を確保するためには, ワックスが収縮しなければならない.またワックスの応力緩和は, パタンの外側性部分の収縮抑制に大きく寄与している.このような観点から, 内側性部分と外側性部分を合わせ持った複雑な鋳造体用のワックスを試作した.主成分には高融点のパラフィンを用い, カルナウバワックス, ダンマル, みつろうを添加した試作ワックスの熱膨脹, 流れ, 応力緩和などの物理的性質について検討した.側鎖成分を除去した高融点のパラフィンを用いることによって, 内側性部分の収縮率の大きなインレーワックスを作ることが可能である.この場合, 操作性を改善するために, 低融点のパラフィンを少量添加することが望ましい.また外側性部分の収縮を小さくするには, 応力緩和を抑制するカルナウバワックスの添加量を少くして, 他の成分を適切に添加すべきである.
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© 1986 一般社団法人 日本歯科理工学会
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