歯科材料・器械
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原著
即硬性レジンと象牙質との接着 : 4-METAとグルタルアルデヒドを用いたボンディング剤
中村 光夫本田 成道中林 宣男
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1986 年 5 巻 2 号 p. 252-260

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抄録
著者らは, 4-META(4-メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物)のような親水性基と疎水性基を有するモノマーを合成し, 象牙質とレジンとの接着性を向上させる研究をおこなってきた.そして4-META/MMA-TBB系レジンの象牙質への接着において, 酸エッチングにより象牙質コラーゲンを変性させると, 接着強さは6MPaの値しか示さないが, グルタルアルデヒドやFeCl3を用い, タンパク質の高次構造を制御することにより, その接着強さを11〜18MPaまで向上することができると報告してきた.今回は重合触媒にTBBを用いない系の新しい4-META系ボンディング剤の試作をおこなった.その結果, A液MMA:HEMA=80:20中に2wt%4-META, 0.5wt%BPO, B液5wt%グルタルアルデヒドを含むエタノール水溶液中に2wt%p-トルエンスルフィン酸ナトリウムを添加した二液性ボンディング剤が良好な接着性を示し, 歯科領域で多用されているBPO-アミン系触媒の即硬性レジンとの接着において, 10-3溶液で30秒間前処理した象牙質に対し13MPa, 0.5M EDTA2Naで60秒間前処理した場合9MPa, 65%リン酸で30秒間エッチングした場合19MPaの高い接着強さが得られた.
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© 1986 一般社団法人 日本歯科理工学会
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